人魚をめぐって

今、筆者は羽鳥書店刊行の『イメージの自然史 天使から貝殻まで』という論考集(ないしエッセイ集)を読んでいる。著者は、田中純教授。仙台市に生まれ、東京大学の大学院を出た後、同大学院で教授の職に就いているという。 筆者は先にエッセイ集という言葉を…

美を生み出す場としての身体

さる日に買った「エステティーク」という雑誌に、最上和子さんという方が「人間の身体は美しい」というエッセイを寄稿していた。 最上和子さんは舞踏家で、あの押井守監督のお姉さんらしい。「場としての身体」をモットーに、日々身体美の可能性を探っている…

Ergo proxy

久々に見たアニメだった。SFだが面白かった。 本作のテーマは察するに、自由意志の所在についてである。自由意志、といえば堅苦しいが、要するに、人は自分で考えることができるだろうか、加えて自己とは何か、という問いである。考古学的に起源を問えば果…

小栗虫太郎『魔童子』紹介

魔童子 第一篇 暗流を辿って 一、伽羅仙童子の唇 と、なんとも摩訶不思議な題名と副題で始まる。この短編小説は、桃源社刊行『小栗虫太郎全作品2 完全犯罪』に収められた、六篇の「新伝奇小説」の一つ。インターネットで検索すると、『完全犯罪』や『白蟻』…

輪るピングドラム

夕方の頃合からこのアニメを観始めた。最初は1クールのみと決めかかっていたが、ストーリーの展開がなかなか遅い。おかしいと思っていたら2クールあるらしく、驚いた。それでも最後までぶっ通しで観た。正直深夜に大詰めのシーンを観たせいか、漠とした感想…

個人的文章の楽しみ方

高校時代、友人に好きな小説をおすすめすると、読書家の人間は受け取ってくれるのだが、そうでない者は、 「いや、なんか文字ばっかりだし……」 と言って突き返してくることがよくあった。 文字ばっかりだから嫌だ? 確かに、そう言う友達は大抵漫画か或いは…

森鴎外『山椒太夫』諸考

ある日、三島由紀夫の『文章読本』を読んでいると、こんな文章に会った。 「この文章(鴎外の文章)はまったく漢文的教養の上に成り立った、簡潔で清浄な文章でなんの修飾もありません。……文学的素人には、こういう文章は決して書けない。このような現実を残酷…

『倫敦千夜一夜物語』2巻感想と覚え書き

最近時間を持て余していたから、集英社オレンジ文庫から刊行されている『倫敦千夜一夜物語』の1巻と2巻を読んだ。1巻を読んだのが確か去年の秋、2巻を読んだのが今日。半年ほどの空きがある。正直、もう1巻の内容はほとんど覚えていない。アルフレッド(個人…